令和7年度企画展 9:00~15:00 南館3階 中等教育資料館

大型剥製標本と鉱物標本

  小田高には、骨格標本を含む剥製標本が284点、液浸標本が303点、卵殻標本が30点、植物標本が1,593点、その他昆虫標本や貝類標本など、計2,500点もの生物標本があります。そのうち69点の剥製標本は、県立小田原城内高校が所蔵していたものです。剥製標本は、絶滅、絶滅危惧、ワシントン条約附属書Ⅰ類など希少種が50点もあり、現在では入手が不可能か極めて困難となっています。明治時代のものが92点、大正時代のものが86点あり、普通種であっても近代中等教育の「歴史的教材」として貴重です。
 また、鉱物標本が1万点以上あり、その半数は県立小田原城内高校が所蔵していたものです。名称・産地が旧字体・旧国名で記されていることから、旧制県立小田原高等女学校が使用していたと考えられます。旧制高等女学校の鉱物標本は、神奈川県では本校にしかなく、近代中等教育の貴重な史料です。 本企画展では、日頃は収蔵庫に保存し、ご紹介することのできないタカアシガニ(世界最大で日本特産)、ニホンカモシカ(特別天然記念物)、オランウータン(ワシントン条約附属書Ⅰ類)などの大型剥製標本と、瑪瑙(メノウ)などの小田原高等女学校の鉱物標本を展示します。明治・大正・昭和の理科教育の一端をご覧いただけましたら幸いです。

巨大な剥製標本タカアシガニ

 昭和8年(1933年)、巨大なカニの剥製標本が本校に寄贈され、博物教室の入口扉の上に掲げられました。この標本を作って寄贈したのは、本校を昭和2年に卒業した柏木晴光(せいこう)(中22)です。柏木は在学中、天文学に興味を持ち、学校の望遠鏡を借りて、自宅で毎日太陽の黒点を観測し、そのデータを中央気象台に送り続けました。その内容は当時高名な天文学者・藤原咲平博士から絶賛され、新聞に紹介されるほどでした。本校卒業後は東京物理学校(現東京理科大学)に進学し、家業の鋳物工場を引き継ぎました。 鋳物師として活躍する一方、カニに高い関心を持ち、相模湾に生息するカニの研究に何年も没頭しました。珍しいカニを求めて、漁師からカニを譲りうけ、自ら海底に潜って生態を観察しました。ノートにカニを一種類ずつ詳細にスケッチし、調査・研究を続け、収集したカニは120種にも及びました。そして「相模湾は世界に類のないカニ属の宝庫である」と、研究の成果を学会に報告しました。 本校に寄贈された巨大なカニは「タカアシガニ」と言い、日本の特産で、世界最大のカニとして海外でも有名です。水深200から300メートルの海底にすみ、第1歩脚を左右に広げると3メートル以上にもなります。柏木は、網代の沖で網にかかったタカアシガニを漁師から譲ってもらい、自分で剥製にして本校に寄贈したのでした。
 なお、柏木は、北条氏時代から栄えた「小田原鋳物」の伝統を小田原で唯一受け継いでいる柏木美術鋳物研究所の所長でした。「砂張(さはり)」という技法を使って、余韻が美しい風鈴、仏壇で打つ鈴(りん)などの仏具、水差・花器・文鎮といった茶道具・華道具などを制作しています。黒沢明監督の映画「赤ひげ」で風鈴が大量に使用され、「新宿御苑の鐘」「霧ヶ峰の霧鐘塔の鐘」「勝福寺の梵鐘」「国会で議長が使う振鈴」など、その音色は全国各地で響いています。

その他の大型標本

 本企画展で紹介しているものの他に、イリエワニ、ミズオオトカゲ、イヌワシ(天然記念物、国内希少野生動植物種、絶滅危惧IB類)、オジロワシ(天然記念物、国内希少野生動植物種、絶滅危惧Ⅱ類)、タンチョウ(特別天然記念物、国内希少野生動植物種、絶滅危惧Ⅱ類)、マナヅル(絶滅危惧Ⅱ類)、ナベヅル(絶滅危惧Ⅱ類)などの大型剥製標本があり、教材展示室に常設展示しています。特にツルは 小田高所蔵のタンチョウに再編統合した小田原城内高校が所蔵していたマナヅルとナベヅルが加わり、3種類のツルを展示することができました。県立生命の星・地球博物館の鳥類専門の学芸員によれば、3種類のツルがそろうことは大変珍しく、貴重であるとのことです。ぜひご覧ください。

校史展示室 南館3階 公開時間  9:00~15:00

常設展示品1
常設展示品2

令和2年に創立百二十周年を記念し、校史展示室、教材展示室、図書展示室を有機的な複合施設として
「小田原高校中等教育史料館」と命名しました。

公開スタッフ募集中!

小田高が好きな人大歓迎!史料館でボランティアをしてみませんか?小田高同窓会樫友会では、笑顔で
来館者を案内してくださるボランティアスタッフを募集しております。「小田高を卒業したけれど、小田高に関わりたい」「小田高の歴史に興味がある」「史料館の公開に協力したい」そんな皆様の応募をお待ちしております!活動内容や応募方法は、樫友会ホームページの「史料館公開スタッフ募集のご案内」をご覧ください。こちらです。https://odako.org/4922

教材展示室 南館3階 公開時間 9:00~15:00

 小田高が令和5年度から文部科学省のスーパーサイエンスハイスクールに指定されたことに伴い、本館に保管されていた大量の生物・鉱物標本が中等教育史料館へ移されました。約600点もの生物標本のうち、学術的な価値の高い絶滅種、絶滅危惧種、ワシントン条約附属書Ⅰ類掲載種といった希少種と、教育学的な価値の高い明治時代の標本をまとめて教材展示室に常設展示しました。
 これまではご覧いただける生物標本が限られていましたが、今後は多数の貴重な標本をまとめてご覧いただけます。トキ、キタタキ、チョウザメをはじめ、小田原城内高校との統合により3種類のツル、タンチョウ、マナヅル、ナベヅルがそろうなど、大変貴重です。なお、従来の各教科の教科書、物理実験機器、地理歴史の掛図・模型、植物標本なども、引き続き展示しています。
教材展示室
明治期の教科書
地理歴史の掛図・模型、物理実験機器など

図書展示室 南館3階 公開時間  9:00~15:00

図書展示室は、旧制神奈川県立第二中学校・小田原中学校の蔵書をご紹介します。和漢書が2,216冊、洋装本が約2 万冊あり、教師の教授用参考書や生徒の学習図書として使用されました。「神奈川県立第二中学校」の蔵書印がある本が多数 あり、吉田庫三初代校長が収集を始めたことがうかがえます。二宮尊徳関係書や伊藤博文の蔵書は、小田原の地で中等教育が 営まれたことを物語っています。和漢書の中には、江戸初前期刊行本や古活字本などの貴重書もあります。
  • これらは明治末の二度の火災、関東大震災、戦災、校舎改築など、度重なる災難を乗り越え、奇蹟的に今日まで 受け継がれてきました。これほど多数のまとまった旧制中学の図書を収蔵している高校は、全国でも珍しく、近代中 等教育の「歴史的教材」として価値が高いと考えられます。
図書展示室(開設準備中)
和漢書
神奈川県立第二中学校の蔵書

図書展示室パンフレット  下の画像をクリックして拡大表示できます

南 館

南館 もっと大きな画像で見る